選者:皆川 明
アフリカのエチオピアに暮らす「オモ族」をテーマにし、彼らと共存する草花の形や、土でボディペイントする様子を現代の服に落とし込もうとした作品です。着飾ることの意味も考えられているようです。トップはラム革のライダーズジャケットとデニムを組み合わせたもので、ボトムはペイントしたパンツ。デニムにはボンディング加工が施されています。装苑賞の候補作品として見てみれば、大胆な表現がなされていますね。それ自体はいいことなのですが、もう少し繊細さが欲しいところです。大きなボリューム感はこのままでいいとしても、仕事が繊細であることが感じられたらよかったですね。袖のレザーの処理やフリルが、雑に仕上げられたように見えてしまいます。今のこの作品は、作者がトワルを組んだ状態ででき上がった服のように思えるのです。つまり、デザイン画で思い描いたバランスではなく、偶然にでき上がった形。それがとても残念に思います。
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