選者:三原康裕
MA-1とテーラードジャケットを組み合わせたアウターは、構造は面白いけれど、いろんなディテールにこだわりすぎてしまい、結果、作品全体としての見え方が散漫になってしまった気がします。ヴィンテージ感を出すためにペンキを塗っていますが、服として、作品として、美しく仕上げることが大前提なのに、ただ塗った感じがしてとても残念です。ダメージ加工で施したステッチは幅がみんな同じ。考え方が安易すぎて、リアリティと繊細さに欠けています。だからテーマを表面的にすくった感が否めません。テーマについてじっくり考えて、谷さんは作品で何を伝えたいのかよく整理してください。難しかった点で帽子を作ったことを挙げましたが、それは作品の意図とは違う、的を外していますよ。悩むことをすごく卑下していますが、悩むことが僕らファッションデザイナーの仕事。服を作るテクニックは充分あるから、思考力や発想の転換力をもっとつけてください。
谷 啓太