選者:皆川 明
19世紀の小説『さかしま』をテーマにした作品です。何よりも、テキスタイルが本当に優れていると思います。オパール加工されているアウターの生地もいいですし、図案の完成度も高いですし。テキスタイルはプロとして活躍できるほどの高いレベルにあると言っていいでしょう。内側のワンピースはキルティング加工されており、その模様もすごくよくできています。小説を題材にしたテーマも物語性があっておもしろいと思います。装苑賞の審査会には合計3体で出場しますが、2体目、3体目では、テキスタイルを変更することなく、違ったアイテムに落とし込むのがいいのではないでしょうか。というのも、アウターの裏面の柄など、服の奥に潜んでいるテキスタイルがすてきだからです。使われているどのグラフィックも、「表に出てきたらどんな服になるのだろう」と思わせる力があります。別の服ではパンツルックにしたり、形のバリエーションを見たいものです。
薄井あい